バカテスト・国語
(ライトノベル『バカとテストと召喚獣4』(第4巻)
pp.174-175)
(および、↑の原作を元にした、アニメ『バカとテストと召喚獣』第4問(第4話)のアイキャッチ)
第5問
次の熟語の正しい読みを答え、これを用いた例文を作りなさい。
【相殺】
<姫路瑞希の答え(模範解答)>
読み……そうさい
例文……取引の利益で借金を相殺する
<土屋康太の答え(アニメ版では、吉井明久の答え)>
読み……そうさつ
例文……パンチにパンチをぶつけて威力を相殺した
<教師のコメント>
惜しいですが間違いです。『そうさつ』という読みも一応ありますが、その場合の意味は『互いに殺し合うこと』というものです。
この場合の吉井君(←ムッツリーニ第2形態)
の例文では互いに打ち消し合うという意味なので、読みとしては『そうさい』が正解となります。
<解説>
「相殺」の読みと意味に関しては、辞書によって見解が分かれます。
「そうさい」の読みに関しては、
『広辞苑
第六版』にあるように、
そうさい(相殺)
1. 互いに差し引いて損得なしにすること。
2. 〔法〕二人が相互に負担する同種の債務を、その一方的な意志表示により対等額において消滅させること。
とするものがほとんどですが、
「そうさつ」
の読みと意味に関しては、
『広辞苑
第六版』
そうさつ(相殺)
ソウサイの慣用読み。
『類語新辞典』
相殺(そうさい)
…… 「そうさつ」は誤読。
『大辞泉』
そうさつ(相殺)
1. 殺し合うこと。
2. ⇒そうさい(相殺)
『大辞林
第二版』
そうさつ(相殺)
互いに殺し合うこと。
→そうさい(相殺)
他の辞書は、私が見た限りでは、
「相殺(そうさつ)」に「殺し合うこと」という意味は載せておらず、「そうさい」を参照させる、
もしくは「そうさつ」の項目自体がない、
というものでした。
「言葉は移り変わるもの」であり、今日において、「相殺」を「殺し合う」という意味で「そうさつ」と読んで使う人は
ほとんど見かけませんから、間違いだ……といいたいとこなんですが……、言葉って困ったものですね。
言葉の意味が一つに定まらず、ぶれてしまうことは多いのに、
あたかもその言葉の意味は一つしかなく、広く使われるようになった「誤用」表現を誤りだと決めつけて認めようとせずに
「これが正しい日本語なんだ」と言い張る人がいますが、
そんな人には「正しい日本語って何なんですか?」と言ってあげたいですね。
<結論>
のどかな朝。私は 友達 気になる人と相殺した。
(↑明久に相殺をする美波。アニメ第4話より)
<出典>
1.原作ラノベ
2.アニメ
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