バカテスト・保健体育
(『バカとテストと召喚獣 7.5』収録分(※ファミ通文庫のHPより)
)
「僕とダウトと男の尊厳」本文中
次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。
どんどん霧島さんの口の中にチョコレートが消えていく。流石は女の子。甘い物に目がない。
(中略)
「……大丈夫。ウィスキーのアルコール度数は40%程度。このチョコレートの容量に含まれる総量の4割なら、私の血液量に対して0.07%程度にしかならない。なんの問題もない」
流石は学年トップの霧島さん。計算が速い。 |
(問題)下線部を手掛かりに、霧島翔子の体重
を求めよ。
<ヒント>
・「アルコール度数」とは、アルコール飲料(ここではウィスキー)に対するエタノールの体積濃度〔L/L〕。
・次のように補って考える。
ウィスキーのアルコール度数は40%程度。このチョコレートの容量に含まれる(ウィスキーの)総量の4割(がエタノール)なら、私の血液量に対して0.07%程度にしかならない。
高校段階…というか、一般常識として必要とされる知識は以下の通り。
・ヒトの血液の量は、体重の約1/13
(男女差、また個人差等あるが、1/13という割合が一種の目安となる。)
ただし、計算の途中で、
エタノールの密度(約0.8
g・cm-3)が必要になるのだが、
普通は知らないはずだし、これを考慮すると、とても短時間で暗算はできなくなるので、ここでは無視することにする。
<解説>
では、まず例として、52 kg
の人の体重を計算してみましょう。
なぜ 52 kg
なのか? 13で割り切れるからですね。
すると、この人の血液量は、
52×
(1/13) = 4 kg
となります。
さあて、アルコール(エチルアルコール、すなわちエタノール)が、血液量に対して 0.07%
ということは、
(※ここで霧島さんが、血液量に対する割合を kg
で考えているのか、Lで考えているのか不明だけど、血液の密度は約1g・cm-3なので、特に気にしなくていいね!)
摂取したエタノールの量は、
4×0.0007= 0.0028 kg = 2.8 g
ここで、前述の通り、エタノールの密度を 1 g・cm-3
とみなすと、
摂取したエタノールは 2.8mL
分になり、
ウィスキーのアルコール度数(体積濃度)が 40%
であることから、
2.8× (100/40) = 7 mL
のウィスキーを摂取したことになり……
…………。
…………ちょっと少なすぎないか?
本文を考察するに、けっこう食べてるような感じがするんだがなぁ…。
体重 52kg の人でも、7mL
しかウィスキーを摂取したことにならないよ!
ウィスキーを摂取すればするほど、血液量に対するエタノールの量の割合は当然増加していくはずだから、
もっとウィスキーを摂取したのなら、霧島さんの体重を 52kg
から上方修正しないといけなくなるよ!
待てよ、落ち着いて考えるんだ!
エタノールの密度を 1 g・cm-3
とみなしたのがよくなかったのかもしれない。
エタノールの密度を 0.8 g・cm-3
とすると、エタノールが 3.5mL 分になり、ウィスキーは 8.75mL
分となる。
……やっぱり少ないような…?
ウィスキーボンボン(チョコレート)には、どれだけウィスキーが入っていたのか?
大きさにもよるが、小さいやつでも、1〜2mL
ぐらいは入ってると思うんだがなぁ。
Googleの画像検索での結果。いろんなウィスキーボンボンがあるなぁ。
ウィスキーボンボン1個あたり、ウィスキー1mLが入っているとして
逆算してみる。
摂取したウィスキーボンボンを N 個 とする
と、
N (個) × 1 (mL/個) × 0.4
【アルコール度数】 × 0.8 (g・cm-3)【エタノールの密度】 ×
(100/0.07)【血液量の0.07%】
× 13 【体重は血液の13倍】 × (1/1000) (kg/g)
≒ 6N kg
(小さいチョコウィスキーボンボンだったなら)10個以上食べてたらアウトだ…。
小さいボンボンだとして10個だからなぁ…。もっとウィスキーを摂取してそうなものだが…?
はっ! 分かったぞ! データが改ざんしてある
んだな!
霧島さんの体重データの漏えいを防ごうとする人物!
そうか! 犯人はなんだかんだいってるくせに、坂本ゆ…(おっと、誰か来たみたいだ
<結論>
ヒトの血液量は、体重の約1/13であり、そのうち、約1/3以上を失うと命が危ない!
……ムッツリーニは、もう、死んでいる!!
<出典>
バカとテストと召喚獣7.5 (ファミ通文庫)
井上堅二
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