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 Location: Home > 挑戦!化学グランプリ! >  1次(筆記) > Woodward-Fieser則 ['06-1-2c]



2006年度の第2問は、ここまでは問題をきちんと読めば解けたでしょうが、

ここのセクションだけは、問題文の説明不足を感じました。

もう少し、詳しく書いてくれてもいいと思うのですが…。
 

 
  次に,吸収される光が可視光のもつエネルギー範囲には入らないが,構造の違いが吸収極大の違いとして反映される,ブタジエン単位を環構造の中にもつ化合物について考えよう。このようなジエン構造は,ステロイド骨格をもつ天然分子にしばしば現れる。ウッドワード(Woodward)とフィーザー(Fieser)は,この種のステロイドの吸収極大波長(λmax)とそのジエン構造との間には,式(3)の一定の加成的関係があることを見出した。

    λmax = 基本値 + 加算値+ ...... + 加算値                       (3)
          (基本値および加算値は表3を参照)

  この関係は2人の名前をとって Woodward-Fieser 則 と呼ばれ,IR(赤外吸収分光分析)やNMR(核磁気共鳴分光分析)がまだ有機化合物の構造決定の有効な手段として利用できなかった1940
年代初めに,ステロイドの構造決定に大きな貢献をした。
 



 

  表3に示される基本値に置換基や環外二重結合などの個々の原子団に対する値(加算値)を加
えることにより,実測の吸収極大波長(λmax)と非常に近い値(推算値)を計算で求めることができる。以下の例で計算方法を確認してみよう。



 

  上の化合物1 の場合,共役二重結合が同一の環内にはなく2 つの環 AとB にまたがっているの
で,基本値として異環の 214 nm の吸収極大値を用いる。次に,共役二重結合を構成する炭素原子(C1, C3, C4)上にアルキル置換基(環残基)が3つあるので,その分を加算する (3×5 nm)。また,環A に対して環外二重結合が1 つ(C3=C4)あるので,その分を加算する(5 nm)。その結果得ら
れた推算値(234 nm)は,実測値(234 nm)とよく一致する。

  また,下の化合物 2 の場合も,同様に計算可能である。この場合は,環Bの中に共役二重結合
が含まれているので,基本値として同環の253 nm を用いる(共役二重結合が同環と異環にまたが
る2つ以上の系がある場合は,基本値として同環を優先して計算する)。

 

 

 


さて、問題は後回しにして、まずは文意を把握しましょう。

表3の上から順々に…

「同環」と「異環」の違いはいいでしょう。

共役二重結合が1つの環に収まっていれば、「同環」
異なる環にまたがっていれば「異環」
両方を満たす場合は「同環」を優先。


「二重結合への共役」
これはよく分かりませんね。

「何が」二重結合に共役しているのかを見極めましょう。
化合物1と化合物2を目を皿のようにして見比べます。

化合物1を見ると「二重結合への共役」は計算されてませんが、
化合物2では、C5=C6の二重結合のみに対して加算されています。

ということは、「ジエンが二重結合へ共役している」ということが分かりますね。

つまり、先程、「同環」と「異環」で注目したジエンを中心として、
共役している二重結合の個数に関して加算しているわけです。



1→ジエン(異環)に二重結合は共役していない。

2→ジエン(同環、環B)に二重結合が1コ共役している。



「アルキル置換(環残基)」
これはいいでしょう。



図のように数えればOK!



「環外二重結合」
これもよく分からないですね。

結論から先に申し上げますと、

それぞれの環に対して、直接結合した二重結合の数(共役したものではない)

を数えなければなりません。



1-A → 環Aから見ると、二重結合が1つ直接結合している。
1-B → 環Bから見ると、直接結合している二重結合はない。

2-A → 環Aから見ると、二重結合が1つ直接結合している。
2-B → 環Bから見ると、二重結合が1つ直接結合している。
2-C → 環Cから見ると、二重結合が1つ直接結合している。
2-D → 環Aから見ると、直接結合している二重結合はない。



「極性基」

まったく言及されてません(爆)!

分かるでしょ? ということなのか…そうなのか…。


というようなことを文脈から読み取らないといけません!
というか、読み間違えたら解けません…(汗)

頑張れ! この試験を受ける人はほとんどが理系でしょうが、
国語も勉強しましょう!


では、問題に挑戦!


 
問7 化合物 3に1分子の水素を付加させたところ,以下の3つの化合物4a, 4b, 4c が得られた。
 4a, 4b, 4c を,吸収極大波長が長波長のものから短波長のものへ順に並べ替えなさい。 



 

問8 前述した例を参考に,Woodward-Fieser 則を適用して化合物 5の吸収極大波長(λmax)を
 推測しなさい。



 

 

問7 これは簡単ですね。

まず、4bはそもそも二重結合が共役してません。よって、これが最も短波長。

4aは同環(253nm)、4cは異環(214nm)。



4aも4cもアルキル置換は3コ(+15nm)
環外二重結合は、4aも4cも、右側から見て1コ(+5nm)

よって、4a(273nm)>4c(234nm)


したがって、答えは、4a>4c>4b



問8 慎重に見ていきましょう。

まず、基本値は、同環(253nmですね。

「二重結合への共役」は…、

ジエンを中心としてみると、2コの二重結合が「共役」していますね。

というわけで、+60


「アルキル置換」は…、



5コですね! +25


「環外二重結合」は…、



それぞれ、青色で示した環に注目すると、
全部で3コありますね! +15


「極性基」は…、




OAc なので、+0


したがって、以上を足し合わせると、

253+60+25+15+0 = 353(nm)



いかに、文章把握ができるかがカギとなった問題でした。

この次の問題の問9は、
フェノールフタレインの呈色の仕組みを知っていた人には余裕の問題だったでしょう。



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