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問7 もうギブズエネルギーにも慣れてきましたね。
反応はギブズエネルギーが減少する向きに起こりやすい
= 標準反応ギブズエネルギーの小さい反応ほど起こりやすい
ということです。
つまり、今回は酸素との反応ですから、
酸化物の標準反応ギブズエネルギーが小さいほど、酸化されやすいということを表しています。
まあ、ここまで深く考えなくても、常識的に、
カルシウムと銅ではどちらが酸化されやすいだろうか、と問えば、
自ずと、エリンガム図で下に行くほど酸化されやすいんだろうなぁ、とは分かるはずですけどね。
というわけで、SiとCuでは、Siの方が酸化されやすい。
さあ、次は反応熱です。
えっ、反応熱??? グラフの縦軸にも横軸にも反応熱なんて書いてねーよ!!!
なんて焦ってはいけません! テンパったら、そこでアウトですからね!
落ち着いて、最初の文章(問題編22ページ)を読んでみましょう。
第2パラグラフの最初に次のように書いてあります。
『化学熱力学では反応熱を反応のエンタルピー変化で表す。』
そうです! グラフの縦軸からギブズエネルギーの値が分かりますから、
エンタルピーを求めることができるんですね!
さて、ギブズの定義は…
ΔGr = ΔHr -
TΔSr でしたね。
エンタルピーを求めたいのですが、エントロピーという邪魔な値が存在します。
エントロピーを無視するにはどうしたらいいか?
絶対温度を0Kにしてしまえばいいですね!
このことは、結局、エリンガム図において、直線を0Kのところまで伸ばす(=外挿する)
といいことが分かります。
Siの方はΔHr°= -900 (kJ mol-1)でよいでしょうが、
Cuの方は微妙ですね。。。私の外挿がヘタクソなのか、私には-330に見えます。
公式の解答では、-320にならないといけないようですが、少々ずれでも、減点はないでしょう。
さて、これで安心して、反応熱→
-900kJ mol-1 と解答欄に書いていいのでしょうか。
いいわけないですね。
そもそも、反応熱がマイナスということは吸熱ということですよ!
アルミニウムを燃やす反応は吸熱ですか?
実は、テルミット反応のあの火花のように見えるものは、周囲から熱を奪っていたのですか?
そんなはずはありません。
発熱反応のハズですよね。
慌てず騒がず、最初の文章(問題編22ページ)を読んでみると、
2パラの最後に、
『吸熱反応に対してはΔHr°>
0,発熱反応に対してはΔHr°< 0
となる』
と書いてあります。
Δは変化量を表しているだけですからね。
というわけで、これで本当に安心して、解答欄を埋めることができますね。
答え。それぞれの反応の1
bar におけるO2(g) 1 モル当たりの発熱量(反応熱)は、
Si
→ 9.0×102 kJ
Cu →
3.2×102
kJ
有効数字のミスはしたくありませんね。
もちろん、単位を[J]に変換してもOK。
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問8 もう大丈夫でしょう。(右辺)-(左辺)ですね。
(1)CO2の場合
C(s)
+ O2(g) → CO2(g)
ΔHr°= -393.51 - 0 =
-393.51 ≒ -393.5 (kJ)
ΔSr°= 0.21374 -
(0.00574+0.205138) = 0.002862 (kJ K-1)
COの場合
2C(s)
+ O2(g) → 2CO(g)
ΔHr°= -110.53 x 2 - 0 = -221.06 ≒ -221.1 (kJ)
ΔSr°= 0.19767
x 2 - (0.00574 x 2 +0.205138) = 0.178722 ≒ 0.1787 (kJ K-1)
(2)←解答用紙では(3)になってる。
直線の傾きは何を表しているのか、をまずは考えていきましょう。
先程の問7を思い出してみてください。
ギブズの定義より、
ΔGr = ΔHr -
TΔSr
ここで、ΔHr
°はy切片。Tは変数ですから、
グラフの傾きは -ΔSr
°となりますね。
ここで、ちょっと待った―、という人がいるでしょう。
グラフはどう見ても右上がり!
ということは、グラフの傾きはΔSr
°ではないのか、と。
ご安心ください(!?)
反応(10)においては、ΔSr
°はマイナスの値になっていますから、
グラフの傾きとしてはきちんとプラスになるんですね!
さて、以上のように、グラフの傾きは -ΔSr
°となることが分かりました。
ところで、そもそもΔSr °って何だったでしょうか?
慌てず騒がず、最初の文章(問題編22ページ)を読んでみると、(コピペ)
3パラの最初に、
『物質の集合状態の乱雑さを表すエントロピー』
と書いてありますね!
ここで、問題をもう一度眺めてみると、
『1 モルの O2(g)
と化合する元素および生成した酸化物が凝縮相(固体または液体)である場合,』
という、以下にも意味ありげな文章が目に入ります。
気体では、エントロピー(≒乱雑さ)は当然大きいですが、
凝縮相においては、小さいですよね!
ここら辺をヒントにして理由説明を考えていきます。
注目すべきは、気体の酸素は、金属との反応により消費され、
凝縮相である酸化物になってしまうという点です。
反応において、エントロピー(≒乱雑さ)は小さくなっていますね。
ここで、エリンガム図を眺めてみると、
素晴らしいことに、各反応において、消費された酸素のモル数(物質量数)は一定にしてあります!
これこそが直線の傾きがほぼ同じになる理由ですね。
以上をうまくまとめましょう。
公式の解答を部分的に(ほとんど?)パクって書くと、
各直線の傾きは、-ΔSr
°と考えてよく、酸素以外が凝縮相の場合、
各反応において気体1molが消滅するので、そのエントロピー変化はほぼ一定になるため。
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