続いて、i )の反応を見ていきましょう。
i )
化合物【A】の片方のアルデヒド基と化合物【B】のアミノ基が反応する。
また,この際脱水が起こり,化合物【D】が生成する。
化合物【A】のアルデヒド基の酸素にプロトンが付加し、
正電荷が共鳴によって炭素原子上に移った際に、求核付加反応が起こり、
一番右の化合物を与えます。
続いて、正電荷をもった窒素の隣の水素原子がプロトンが脱離します。
次に、ヒドロキシ基上の酸素原子にプロトンが付加し、
水分子として脱離していきます。
水分子が脱離した後、共鳴によって、アミノアルコール中間体を生じます。
アミノアルコール中間体の正電荷をもった窒素原子の隣の水素原子がプロトンとして脱離し、
イミンを生じます。
ゆえに、【D】が求まりました!
おいおい、そんな方法が思いつくかよ、という方は、
模範解答的に解くこともできますね。
↑模範解答のやり方。実は先述の方法と同じ。
それでも分からない、という方は、ii
)の反応の逆を辿るというやり方があります。
ii )
化合物【D】の窒素を含む官能基ともう一方のアルデヒド基が分子内で反応して環状化合物【E】となる。
なお,この反応では酸素原子にプロトン付加が起こっている。
【E】を、目を皿のようにして見ると、アルデヒド基だったようなものが見つかります。
あとは、反応を逆にたどっていくだけです。
実はこっちのやり方の方が簡単だったりします。
たった1行で【D】が求まりました。
さてさて、次は【C】を求めていきましょう。
【C】→
カルボキシル基を2つとカルボニル基を1つもつ分子式が
C5H6O5
で表される有機化合物
カルボキシル基は、-COOH 、カルボニル基は、>CO
ですから、残り物は C
2H
4
です。
さて、困りました。この条件を満たす分子は、下の4種類存在します。
全パターン考えている時間は、残念ながらありません。
こんな時は、最終生成物から判断します。
最終生成物、トロピノンの左側は、明らかに【E】を骨格としています。
ということは、【C】はトロピノンの右側を構成することになりそうです。
ここで、注目してほしいところは、トロピノンに至る直前の反応である、脱炭酸反応です。
これは、【C】におけるカルボキシル基部分が脱離したものと考えられるので、
図の左端の分子か、右端の分子が候補に残ることになります。
真ん中2つは、脱炭酸反応を起こしてしまったら、水色の□で囲った部位が不完全になってしまいますね。
さあ、2つのうちからどちらかを選ぶか、ですが、もうこれは見た目で決めてしまいましょう。
左側の分子は上下に対称的で、いかにも反応が進んでいきそうな感じがしますね?
一方、右側は、なんか一つの炭素にカルボキシル基が2つもついてるし、
不安定すぎて、Eとの反応以前に、分解してしまいそうです。
したがって、一番左の分子が【C】だと求まります。
まあ、最終生成物のトロピノンが対称的な分子なのだから、
4つの中で、対称的で、一番Cである可能性が高そうに「見える」
一番左の分子をいきなり選んでもかまわないと思います。
長くなってしまったので、前半と後半に分けます。
次こそ、有機の最終回だ!