Location: Home > 挑戦!化学グランプリ! > 1次(筆記) > セッケンと硬水と「ナギ平原」 ['07-1-3b] |
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そもそも、セッケンは高級脂肪酸のアルカリ金属塩 (例:CH3-(CH2)14-COO-
Na+ ステアリン酸ナトリウム) Al2(SO4)3 +
3Ca(HCO3)2 → [ ]
ですから、Ca2+ やMg2+
を多く含む水、つまり硬水中では、例えば次式のように反応して、
水に不溶性の物質が沈殿し、洗浄能力を失ってしまうのです。
2R-COO-
+ Ca2+ → (R-COO)2
Ca↓
というわけで、解答としては、白色沈殿が生成する。(10字)
溶液が白濁する。(8字) といったようにまとめましょう。
問5 硬水のモデルとして塩化マグネシウムMgCl2,および炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2
の混
合水溶液を考える。この水溶液を石灰ソーダ法により軟化するとき,それぞれの化合物から沈殿
が生成する化学反応式を答えなさい。
石灰ソーダ法は、設問の文章中から、
水酸化カルシウムCa(OH)2 と炭酸ナトリウムNa2CO3
のどちらかまたは両方を加え,
Ca2+ はCaCO3
として,Mg2+ は,Mg(OH)2
として沈殿させる方法ですね。
というわけで、
MgCl2 + ? → Mg(OH)2 + ?
Ca(HCO3)2 + ? → CaCO3 +
?
という感じの反応式になるはずですね。
まずは、下のCa(HCO3)2
の場合から。
Ca(OH)2を加えてみると……
Ca(HCO3)2 + Ca(OH)2 →
2CaCO3 + 2H2O ---
@
の反応が起こり、これは○
では、Na2CO3を加えてみたらどうでしょう?
Ca(HCO3)2 + Na2CO3 → CaCO3 +
2NaHCO3 ---
A
の反応が起こり、実はこれも○
というわけで、Ca(OH)2、Na2CO3
の両方を加えてみた式
@+A Ca(HCO3)2 + Ca(OH)2 +
Na2CO3 → 3CaCO3
+ 2NaHCO3 + 2H2O
も○でしょうね。まあ面倒くさいので、@かAでOKでしょう。
次に、上のMgCl2の場合を。
右辺に
OH- があるので、Ca(OH)2
を加えて、
MgCl2
+ Ca(OH)2 → Mg(OH)2 +
CaCl2 ---
B
……これで終わり、にしてはいけませんよ!
確かに、Mg2+ は,Mg(OH)2
として沈殿しましたが、
CaCl2 は沈殿しない(水に不溶の塩化物→ AgCl、PbCl2、Hg2Cl2
の3種類)
ので、Ca2+ が水溶液中に残留することになってしまいます。
これでは、軟化の意味がありません。
そこで、Na2CO3 を加えて、上のAの式のように、Ca2+ を沈殿させます。
CaCl2
+ Na2CO3 → CaCO3 + 2NaCl ---
C
あとは、B式とC式を足して、
B+C MgCl2 + Ca(OH)2 +
Na2CO3→ Mg(OH)2 + CaCO3 +
2NaCl
これが答えになりま〜す!
ここから、少し脱線。。。
先程登場した、水に不溶の塩化物ですが、私(48K部長)は、
次のように記憶しました。
Pb2+(ナ) Ag+(ギ) Hg22+(平原)
FF10をやったことがある人なら分かりますね。
FF10は不朽の名作ですから、まだやったことがない人はぜひやって下さい。
その際には、一つ一つのセリフに込められた意味をちゃんと考えてプレイしましょう。
ここがただ淡々とストーリーを進めるだけの「子供」との違いです。
有名所だと、エンディングのユウナの「ありがとう」に込められた意味とかですかね。
いや〜、シナリオ担当の野島さんと渡辺さんは本当にすごいと思います。
さて、話を元に戻してっと…
問6 一般的な硬水中には,炭酸水素カルシウムCa(HCO3)2
が多く含まれている。これが加水分
解すると塩基性になり,下線部の反応が進行する。下線部の反応を以下のように表すとき,化学
反応式の右辺を答えなさい。なお,反応の過程で気体が発生することがわかっている。
下線部とは、はるか上の設問の文章中にある
「硫酸アルミニウムは塩基性水溶液ではゼリー状の水酸化アルミニウムとなり」のことです。
ところで、この「ゼリー状」という記述ですが、「ゲル状」と書かれる場合も多いのでご注意を。
さて、では解いていってみましょう。
まず、加水分解ですが、その名の通り、水を加えて分解することですね。
Ca(HCO3)2
のうちの、HCO3-
が次式のように加水分解します。
HCO3- + H2O →
H2CO3 + OH- --- D
このOH- によって、塩基性を示すわけですね。
すると、下線部より、「硫酸アルミニウムは塩基性水溶液ではゼリー状の水酸化アルミニウムとな」るので、
Al2(SO4)3
+ 6OH-
→ 2Al(OH)3 + 3SO42- ---
E
SO42- はCa2+
と反応し、水に不溶のCaSO4を生じます。
SO42- + Ca2+ → CaSO4 ---
F
ここまでをまとめると…
D×6 + E + F×3
Al2(SO4)3 +
3Ca(HCO3)2 + 6H2O → 2Al(OH)3 +
3CaSO4 + 6H2CO3 ---
G
となります。あれ? でも、気体が発生してませんよね?
実は、炭酸(H2CO3)は超不安定で、次の平衡状態は著しく右に偏っています。
H2CO3
H2O +
CO2
つまり、 H2CO3 → H2O +
CO2 --- H
と考えても差し支えありません。というわけで、
G + H×6 Al2(SO4)3 +
3Ca(HCO3)2 → 2Al(OH)3 + 3CaSO4 + 6CO2
これが答えになります。
問7 セッケンやドデシル硫酸ナトリウムを用いて体や頭髪を洗う場合,水質によって泡立ちが違ったり,すすいでも汚れが十分落ちなかったり,体質によっては皮膚に刺激を与えることがある。そこで,泡立ちやすく,皮膚に与える刺激の少ない界面活性剤が多く開発されている。あるアニオン性界面活性剤の組成式はC16H27NO5Na2
で,これを酸性下加水分解したところ,直鎖カルボン酸とアスパラギン酸NH2−CH(COOH)−CH2−COOH
を生じた。このアニオン性界面活性剤の構造式を例のように答えなさい。
与えられた条件から、もとの有機化合物の構造式を決定するという、問題です。
加水分解後の生成物に着目すると、カルボン酸とアミンが生成しています。
加水分解して、カルボン酸とアミンを生成するものといえば……、そうアミドですね!
この反応を逆から考えてみましょう。
カルボン酸とアミンが脱水縮合してアミドになる反応を考えます。
上の図で赤い四角で囲った部分が水分子として脱水し、
アミド結合が形成されます。
ここで、Rは直鎖の炭化水素基が入ります。
するとここで、おいおい与えられた組成式はC16H27NO5Na2
なのに
Naはどこにいったんだよ、ということになりますが、
そのことに関しては、酢酸ナトリウムの加水分解を思い出すと、
納得できると思われます。
CH3COONa +
H2O → CH3COOH + Na+ + OH-
アスパラギン酸の-COOHも、実は加水分解によって生じたものだったのです。
というわけで、
という構造式が書けます。
あとは、Rを決定するだけです。
与えられた組成式はC16H27NO5Na2
上の図の構造式では R-C5H4NO5Na2 になっているので、
R =
C11H23
と分かります。
あとは、(例)のように構造式を書けば答えになります。
アミド結合部分を一続きに書いて、下のように書いても正解です。
ここまでがBパートでした。
問題は、さらにCパートへと続きます。
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