「セシウム:Cesium」 は元素記号Csで表されるアルカリ金属元素です。

語源はラテン語で 『青= caesius 』 です。
スペクトル線の2本の青色に由来しているそうです。

単体は軟らかく、色は銀白色で、他のアルカリ金属同様水中で水素を出しながら水と激しく反応します。
ですから、他のアルカリ金属と同様、単体は灯油中で保存します。
セシウムは、ナトリウムやストロンチウムなどで有名な炎色反応は青色を示します。
また、光電管の薄膜やGPS衛星(に搭載された原子時計)に使われます。

最近では、電波時計というものが流行っていて、セシウムの名を聞いた人もいるでしょう。
このセシウムを使った電波時計は、セシウムの同位体であるセシウム133
(天然に存在するセシウムは、すべてこのセシウム133)を利用したものです。
仕組みは、セシウム133が極超短波を吸収して出す規則正しい周波数を利用した、きわめて正確な時計です。
そして、その周波数から正しい時刻を割り出し、それを時刻情報として電波を飛ばし、その電波を受信します。
電波の送信は、日本国内では2箇所の送信所から発信され、日本全域で受信可能になっています。

実際、現在の秒の単位の元はこのセシウムです。


セシウムの同位体としてセシウム133について触れましたが、もうひとつ有名な同位体があります。
それはセシウム137というものですが、残念ながらあまりわれわれの生活には良くない物としか言わざるを得ません。
中にはγ線源として医療用、工業用として使われますが、多くは、というよりは核兵器によってできています。

核実験を行う(核兵器が爆発する)と、大量に放射性物質が生成し、大気中にばら撒かれます。
この生成物を 『死の灰』 と呼びますが、この言葉が世に出てきたのは、1954年の第五福竜丸被爆事件からといわれています。
この生成物の主成分が、ウランの核分裂によって生じるセシウム137なのです。
セシウム137は主に染色体異常や、遺伝子の突然変異を生じ、放射性生成物の中ではもっとも有害です。
そして、そのことを我々に再認識させた事件は、誰もが知っているあのチェルノブイリ原発事故です。
原子炉から放出されたセシウムは大気中の風に乗り、世界中を汚染していきました。
その結果、我々の食料のほとんどが汚染され、食品の輸入・食用禁止に及び、世界はパニックに陥りました。


この『元素トリビア』の中では時にこういったマイナスの内容のコラムが出てきます。
しかし、それが現実である以上、化学(科学)を学ぶものとして、必ず忘れるべきでないものを載せています。
今回も、原子力発電と核兵器についてのことを書きましたが、皆さんにはよく、化学(科学)のマイナスの面を考えてみてほしいのです。

 



<48K部長注>

セシウムを水の中にぶち込むのは非常に危険です。
絶対にやめてください。

「水と激しく反応する」と書かれていますが、激しいなんてものではないです。
ガラス器具は粉々に破壊され、周囲に甚大な被害が出ます。

具体的にどのような爆発なのかをどうしても知りたい場合には、
Youtube等で「cesium water 」などと検索するとよいでしょう。





<知られざる元素トリビア>


                   
                     
 
   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 



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