「水銀」は元素記号Hgで表される金属元素です。

水銀は常温常圧で液体である唯一の金属元素です。
ビンの中に入った水銀を持ってみると、予想よりもかなり重く感じますよ。
(素手で水銀を触るようなことは絶対にしないでください!)

英語ではmercury(マーキュリー)と呼ばれます。
英語や占星術、神話が好きな人ならすぐ分かりますね。
そうです。ギリシャ神話のヘルメス(ローマ神話ではメルクリウス、マーキュリー)、
つまりはその星である水星にちなんでいるのです。

また、水銀といえば、始皇帝を始めとした古代の多くの権力者が
不死の薬として水銀を飲んでいたという話は有名ですが、
毒薬として悪名高い元素でもあります。

日本の四大公害といわれる、「水俣病」「第二水俣病(新潟水俣病)」の
原因となった物質も水銀でした。

このような水銀の害は、実は古代からもあったのです。





奈良の大仏は水銀中毒を引き起こした?


東大寺の大仏、通称奈良の大仏といえば、修学旅行のお決まりコースであり、
誰もが一度は見たことがあるのではないでしょうか。

場合によっては、小学校でも中学校でも高校でも見たなんて人もいるのではないかと思います。
さて、そんな奈良の大仏ですが、昔はきんきらきんの金色 だったのです。


しかし、どのようにして、あんなに大きな大仏を金色にしたのでしょう?


 水銀は、白金などの一部の金属を除くほとんどの金属と
アマルガム と呼ばれる液状の合金をつくる性質があります。

この性質を利用して、まず、金を水銀に溶かした「金アマルガム」を作り、
これを大仏に塗った後、水銀を加熱して蒸発させ、大仏に金メッキを施したわけです。


大仏は金色になりました。


しかしこのとき、大量の水銀蒸気が大気中に放出 されてしまったのです。
当時の奈良の人々は、この大量の水銀蒸気を吸ってしまったことでしょう。

かくして、この際に起こった水銀中毒によって多数の死者が出たことが、
平城京から長岡京への遷都の理由の一つになったとも言われています。


 余談ですが、「平城京」は「へいぜいきょう」と最近の教科書には載っています。





<知られざる元素トリビア>


                   
                     
 
   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                             

 



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